どのようなジャンルの作品の中でも少女にこだわり、その瑞々しい感性を映画的に機能させてきた金子修介監督作品の集大成ともいえる、甘く危険な思春期ファンタスティック・ワールド。
まるで永遠のように繰り返されていくキスをはじめとして展開されていく、蒼きエロティシズムかつフェティシズムに満ちたシーンの数々に体当たりで挑みながら、初々しくもはかない存在感を美しく醸し出していく主演二人の熱演も、見事に金子監督の期待に応えている。
また劇中、ウィリアム・ワイラー監督の名作『噂の二人』を引用させながら、同性愛に対する世間の偏見などをさりげなく描出しているあたりも、金子作品ならではの反骨精神の顕れといえよう。
原作 雛倉さりえ『ジェリー・フィッシュ』(新潮社より刊行予定)