沖縄コンベンションセンターの会議棟で俳優マシ・オカさんによるセカンドシティの体験ワークショップが行われました。
セカンドシティとはアメリカ最大のコメディスクールで、プロを目指す人向けから一般向け、学生・子供向け、企業トレーニング向けなど様々なクラスを展開して、多数の俳優を輩出している実績があり、今回のワークショップでは、宜野湾市とよしもとの共創による「ぎのわんエンターテインメント・ビレッジ構想」に向けた試験的な実施も兼ねています。
自らもセカンドシティ出身の俳優であるマシ・オカさんを講師に迎え、沖縄県内の高校生12人にセカンドシティの「インプロビゼーション」というメソッドを実践。
マシ・オカさんは学生を緊張させないように、はじめに床に直置きの低いステージに腰かけ、学生よりも低い視点から「みんな一緒の高校?」「アメコミの映画観たことある? バットマンとか」など、学生たちが答えやすいように声かけを続け、流れるようにメソッドに入っていきました。
まずは全員で円になり、自分の名前を身振り付きで紹介し、その自己紹介の振り付けを向かい側に立っている人に真似させたりしました。
簡単な動きから始まりましたが、そのうち実際にはない3色のボールを「グリーンボール!」「レッドボール!」と、名前を言うことでそれがあたかも実在するように仮定して投げ合い、メンバーにうまくつないでいくという、集中力とアイコンタクトが必要なゲームに展開。
さらに、メンバーを6人2チームに分けて、「一人ひとりがパーツになって飛行機をつくってごらん。誰が何をやるかは自由だよ」などと出題し、チームワークが必要とされる課題を出すなど、合わせて12種類のゲームと課題を行いました。最初はお互いよそよそしい態度をとっていた学生たちも、1時間45分のメソッドが終わるころには気軽に話し合えるほど打ち解けていました。
マシ・オカさんは課題を終えた学生たちに、「Noと言うのは簡単だし、安全を得られるけれど可能性を閉ざしてしまう。
Yesと言うことは勇気がいるし不安になるかもしれないが、冒険と希望を与えます」と話し、「短い時間だったけれど、ここで学んだことがみんなの人生の中で何かの役に立ってくれればと思う」と講義を締めくくりました。
ワークショップ後に行われた記者会見でマシ・オカさんは、ワークショップの感想を「短い時間だけどとても楽しかった。アメリカでは“インプロビゼーション(即興)”は社交ダンスのように、習い事の一つなので日本にもそんなところがあればいいなと思った」と話しました。
また、学生たちの反応については「アメリカでも人前でパフォーマンスできるようになるには3時間のメソッドを1年間続けないといけない。日本の学生は特に羞恥心が強い時期だからぎこちないのは当然」と述べ、これからの伸びしろに期待しているようでした。
一方、会見に一緒に出席した吉本エンターテインメントUSAの頼廣彰伸代表は吉本興業とセカンドシティの業務提携の話題に触れ、「日本でセカンドシティとコラボレーションできるのはとても光栄なこと。
もともと業務提携を発案したのはマシ・オカ氏。そこから本格的に話が進んで今に至る。はっきりとどんな方向で進めていくかはまだ決めていないが、まずはプロにメソッドを教えて、そこから日本に広めていきたいという考えがあるので今後が待ち遠しい」と話していました。
そしてマシ・オカさんは、「セカンドシティのメソッドは日本にはない文化。アメリカに比べYesを言いやすい環境といっても、日本企業は上下関係も厳しくて『No』と言わなければならない場面があったり、『Yes』と言ったのに『Yes,But』の意味だったりする。でも、すべてをYesで受け入れることで相手を肯定して、世界が少しでもハッピーになってくれるといいなと思う」と、業務提携や、ぎのわんエンターテインメント・ビレッジを通して、今回ワークショップで使ったメソッドが日本に広がっていってほしいと期待を寄せていました。