沖縄コンベンションセンター・シアター2にて、地域発信型映画『THE BOOM 島唄のものがたり』が上映されました。上映後には舞台あいさつが行われ、THE BOOMと真喜屋力監督が登壇しました。
『THE BOOM 島唄のものがたり』は、THE BOOMの代名詞とも言える大ヒット曲で、世界各国でカバーされている「島唄」が、発表から20年経った今、この歌がどのように生まれ、どのように成長してきたのかをTHE BOOMのボーカル・宮沢和史さんをはじめ、多くの関係者のインタビューを通して解き明かすドキュメンタリー。
上映後の舞台あいさつに登壇した宮沢さんは「こんなにたくさんの方が来て下さって、感謝、感謝です。20年という節目の年に、『島唄』を映画にできたことを非常に嬉しく思っています」と感激した表情であいさつしました。また真喜屋監督は「20年前も撮らせて頂いたのですが、単なる思い出話ではなく100年200年先を見据えてこの映画を撮ることができて本当に嬉しかったです」と話しました。
映画のきっかけについて宮沢さんは「大和(本土)の人間が、沖縄の心である三線を使って、しかも戦争を知らない人間が戦争のことを歌う。発売前から批判を受けるのはわかっていた。ヒットするということは想像を絶するほど多くの方々が耳にするということ。沖縄を通り過ぎるのではなくて、ここに根を生やすくらいの覚悟で歌い続けていく。『島唄』が昔からある歌のように思われるのが嬉しいんです。昔から生えている木のような。だからこの20年を総括する映画を撮ろうと。僕たちが作るのではなく、沖縄の人たちが考える島唄の映画をと思って撮ることになったんです」と語りました。
映画を観た感想を尋ねられたTHE BOOMのメンバー一同。ギターの小林孝至さんは「何回見てもぐっと来てしまい、気持ちが熱くなりました」と感慨深げ。ベースの山川浩正さんは「映画の中の藤木勇人さんの言葉のように、泡盛が100年寝かせられる平和な時代が続けばいいなと思います」と、歌にこめた平和への願いをコメント。ドラムの栃木孝夫さんは、「この映画がなければ、聞くことのなかった方々の話を聞くことができて、再認識できました」と話しました。
撮影の感想を聞かれた真喜屋監督は「できるだけ多くの方にいろんな話を聞きたいという思いがありました。島唄はある意味踏み絵のような存在で、大好きという人もいれば、批判的な立場の人もいる。沖縄っていう場所にもいろんな人がいていろんな考えがあるんだということを、この映画に納められたかなぁと思います」と、映画にこめた思いを語りました。
撮影を通して感じた“沖縄”について宮沢さんは「沖縄民謡が好きで僕は沖縄に来た。先日、登川誠仁先生が亡くなられましたが、去年の始め頃から、沖縄民謡界の方々を記録してきました。そんなとき、三線のさおの部分が輸入に頼っていると聞いて、くるち(黒木)の木の再生に力を読谷村の村長をはじめみなさんが協力してくれた。そこで“くるちの杜project”というのが立ち上がった。これから旧暦の9月6日、新暦でいうと10月に歌会をやっていきます」現在活動中のプロジェクトへの思いを語りました。
さらに「スリムクラブがいうようには儲かってないですからね」と映画に出てきたスリムクラブ・真栄田賢の言葉を否定して会場を笑わせる宮沢さん。続けて「20年間この歌を歌い続けることができた。それは奇跡以外の何者でもないと思います。こんなに幸せなことだったんだと改めて思います。沖縄からいろいろなものを頂いた。これからは僕たちが何かを返して行きたい。歌会をやっておいしいお酒を飲みたい。本当に今日はありがとうございました」と、晴れ晴れとした表情で語り、割れんばかりの拍手の中、会場を後にしました。