シアター1で“コンペティション Peace部門”の「デスマッチ」が上映され、武田幸三さん、エル・ベラスコさん、アーティ・モーガン(室賀厚)監督が舞台あいさつで登壇しました。
武田さんは「僕の初主演映画をみなさんに観ていただいて本当に光栄です。ありがとうございました」とあいさつ。
エルさんは「映画祭のテーマである“Laugh&peace”人が笑うときにはなんでも許すことができるという考えにとても感動しています。この考えを世界中に広めていきたいと思います」と映画祭のテーマに賛同のコメントをよせました。
アーティ・モーガンこと室賀厚監督は自身を含むスタッフの名義を外国名にした経緯について「外国映画のなかに武田幸三というサムライを放り込もうというコンセプトで制作した映画ですので、スタッフの名前も外国人のような名前で表記しています」と語っていました。
武田さんは映画初主演について「嬉しさとプレッシャー、ふたつの感情がありました。格闘家を引退してから2年のブランクがありましたので、約2カ月間、1日5時間トレーニングして、新たに体を作りなおしました」と、劇中で披露した見事な肉体を作り上げた経緯を告白。
エルさんは映画出演について「とてもワクワクできた撮影でした。キックボクシングのチャンピオンである武田さんと共演できて光栄です。日本の監督、俳優、スタッフのみなさまと一緒に仕事ができて楽しかったです。みなさまとても一生懸命で、効率よく仕事をされていました」と語りました。
フィリピンを舞台にした経緯についてアーティ監督は「東南アジアが好きですし、危険な香りを漂わせているフィリピンの町並みが映画の雰囲気にマッチしていたからです」と語りました。
フィリピンでの撮影について武田さんは「撮影は12日間だけだったし、撮影が終わるとジムに行ってトレーニングをしていたので観光はできませんでした。夕方5時から夜中の12時までトレーニングです」と、過酷だった撮影の秘話を述べました。
武田さんはアクションシーンについて「自分はもともとファイターだったので、格闘シーンではどうしても当ててしまうんですよ。1の力で当てると向こうは2の力で返してきて、自分は3の力で返してしまう。ちょっとずつガチになっていって、映画の中でも本気で当ててますよ。自分も打撲したり、頭から血を流したりしました。自分はそういう感じが燃えるんですけどね」と、格闘家の表情を見せていました。
武田さん演じる主人公に守られる役柄だったエルさんは「私も格闘シーンに挑戦したかったです。今はムエタイのレッスンをしているんですよ」と語ると、アーティ監督は「パート2では武田さんと戦うかもしれませんよ!」と語り、客席からは笑い声があがっていました。
片目に障害をかかえながら戦う主人公について武田さんは「自分も片目がほとんど見えないので、監督が主人公の役柄を自分と同じように設定してくれました。格闘技をしていた頃は命をかけて集中して寡黙にやっていたので、同じ境遇の主人公の気持ちを観客のみなさまに伝えられるように演じていました」と、主人公と自らの共通点についてコメント。
西部劇のような雰囲気をかもしだす作品についてアーティ監督は「僕は西部劇を観て育ったので“拳の西部劇”というか、武田幸三版の『シェーン』を撮ろうと思ったのが制作の出発点でした」と語り、「家族の絆、男の背負うもの、友情が作品の根底にありますので、人と人との絆というものを読み取ってもらえればと思います」と、作品のコンセプトを説明しました。
武田さんは最後に「自分は格闘家から2年前に転身して俳優をやらせてもらってます。これからは役者、映画関係に邁進してまいりますので、これからもよろしくお願いします!」と、力強く語り舞台をあとにしました。