コンベンションセンター・シアター1、最後の上映となる、コンペティション「Peace部門」の『ハッシュパピー バスタブ島の少女』が上映され、上映前に主演のクヮヴェンジャネ・ウォレスさんが登壇し、舞台あいさつが行われました。
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』は、6歳の少女、ハシュパピーが父親と2人で暮らす世界の果て“バスタブ島”が嵐に襲われてしまう。
すべてを失ったハシュパピーが勇気と、生きる術を手に入れていくさまを、ハシュパピーの目線を通して描かれるファンタジックで独創性にあふれた作品。
第28回サンダンス国際映画祭でグランプリと最優秀撮影賞を受賞したほか、ことしのアカデミー賞では主要4部門にノミネートされ、特に主人公の6歳の少女を演じたクヮヴェンジャネさんが、史上最年少で主演女優賞にノミネートされた事でも注目を集めた話題の映画です。
きらきら輝くスパンコールの黒いドレスを身につけて、クヮヴェンジャネさんが笑顔で登場すると、会場からは大きな拍手がおきました。
登場後すぐに片手に持っていたスマートフォンの画面を見ながら、「こんにちは、クヮヴェンジャネです。今日はありがとう」と日本語で観客にあいさつをし、「今日は映画を観に来てくださりありがとうございます。これから映画を楽しんでください」とも話しました。
司会の方から“日本に着いたばかりですが、日本または沖縄はどうですか?”と聞かれ、「日本も沖縄も気に入りました。アメリカと違う部分がありますが、好きです。」と答え、次に “日本食は何か食べましたか?”と質問されると「はい、いろいろ食べました。中でも特にお気に入りは“わさび”!」と元気よく答え、お寿司を食べた時に「わさび」がとても好きになったということを教えてくれたほか、来日する前に、母親と“勉強は毎日頑張ること”を約束したとも話してくれました。また、“かわいらしいバッグを持っていますね”と言われたクヮヴェンジャネさんは、「私は犬が大好きなんですが、今日持っている犬のバッグはいつも持ち歩いていて、私のお気に入りです。イベントがある時はいつでも持ち歩いています」とリボンをつけた白色の犬のバッグを笑顔で観客に見せながら話し、年頃のかわいらしい少女の部分も垣間見えました。
さらに、昨日東京都内で行なわれた映画の舞台あいさつに、日本の人気子役・芦田愛菜さんがお祝いに駆けつけたということで、会った印象を聞かれたクヮヴェンジャネさんは、「彼女は、私と1歳違いで年下ですが、とても優しい方でした」と芦田さんについても語りました。
今年のアカデミー賞では、史上最年少で主演女優賞にノミネートされた彼女に“アカデミー賞で、自分の名前が呼ばれた時はどんな気持ちでしたか?”と聞かれ、「えっ?私の名前が呼ばれているの?という感じで、あまり緊張はしませんでした。舞台でも、映画の中でハッシュパピーが大きな手を広げるポーズをしたの」と、アカデミー賞に参加した際の話しも教えてくれました。
話題が映画の撮影時の話になり、「監督とは、ビッグ・ブラザーのような存在。演技もストーリーを細かく指導してくれました。撮影時は、私が監督を“ビッグ・バディ”と呼んで、彼が私のことを“リトル・バディ”と呼んでいたんだけど、今では私が背が伸びたから、呼び名が逆転しました」とベン・ザイトリン監督と良い関係をきずけていた様子で、「撮影は本当にとても楽しかった」と語っていました。また、サンダンス国際映画祭では、映画の上映後に7分間のスタンディングオベーションがあったことを話し、「それは、とてもエキサイティングな体験で、スタンディングオベーションの時に、ある人が肩に持ち上げてくれて、とても興奮しました」ということも話してくれました。
今や天才子役として有名になった彼女に、“女優業は続けますか?”と質問したところ、「はい、続けたいです。歯医者さんにもなりたいけれど、女優の道もあきらめたくない。今後もいろんな役にチャレンジしたい」と女優業への意欲も語り、“演技が上手ですね。天才だと思います”と司会に言われ、「そうですか?うーん、でもあなたが言うのならそうなのかもね」との発言には、会場からは笑いがおこりました。
最後に「今日は本当にありがとうございます。映画を気に入ってくれると嬉しいです。どうぞ映画を楽しんでください」とコメントし、観客の拍手の中、舞台挨拶が終了しました。