昨年から始まった、吉本興業が沖縄の新たな音楽の才能を発掘する「オープンマイクオーディション」。
そのグランドチャンピオンを決める、最終ステージ「オープンマイクオーディション~No.1うちな~ミュージシャン決定戦~」が、ビーチステージにて行われました。
このオーディションの優勝者は県外での活動がサポートされ、吉本興業が制作する番組のエンディングテーマにオリジナル曲が起用されるなど、まさにプロへの登竜門となるもの。
昨年から沖縄県内で毎月予選審査を行い、勝ち抜いた実力派新人ミュージシャン5組がステージに登場しパフォーマンスを行うとあって、音楽好きの若者や地元ミュージシャンを応援する人たちが会場に続々と詰めかけていました。
ステージMCにはガレッジセールのゴリと川田、そして音楽好きとしても知られる野性爆弾の川島邦裕が登場しました。
審査員は音楽ライター伊藤博伸さんと沖縄ライブハウス協会会長でライブハウスMODSの支配人・喜屋武尚さん。予選から全アーティストを見てきたという喜屋武さんは「今日登場するアーティストはみんなジャンルも音楽スタイルも全く違っているので審査が難しいと思います。今日の大きなステージでどんなパフォーマンスを見せてくれるかというところで評価したい」と審査ポイントを語ってくれました。
トップバッターは、2011年に結成された男子5人組のバンド、HOLIDAY ON THURSDAY。「盛り上がって行きましょうかー!」というヴォーカルの元気な掛け声から、疾走感と躍動感のある、ギターフレーズが印象的なバンドサウンドを展開。MCのゴリも「青春だねえ~! いいねえ~!」と盛り上がっていました。
続いて登場したのは女性ヴォーカリストsaky(サーキー)。オーディションを受けてから初めてギターを練習して2カ月で作り上げてきたというオリジナル曲を、アコースティックギターの弾き語りで披露しました。「感謝の気持ちを込めた」という歌からは、素直な優しさが伝わってきて、小柄な体からしっかりと放たれる彼女の伸びやかな歌声に客席も聞き入っていました。
3番目に登場したのは中学を卒業してから高校に行かずに音楽の道を進むことに決めたという17歳の少年RIKI。一見頼りなさそうな雰囲気の彼ですが、マイクの前に立ち、歌声を上げると雰囲気が一変。アコースティックギターをかき鳴らして、自分の思いを歌い上げる姿には求心力が宿っていました。歌い終えると、また頼りなげな雰囲気に戻って小さな声でしゃべる彼の不思議なキャラクターを、川島は気に入ってしまったようで、客席に来ていた彼のお母さんに「息子さんを僕にあずからせてください」と言う一幕もありました。
4番目のバンドは、幼稚園からいっしょの幼なじみの4人によるガールズバンドTMKY(ティムキー)。沖縄県中部で中学3年生の頃からバンド活動を始めて7年になるという彼女たち。少しハスキーで存在感のあるヴォーカルとバランスのよいサウンドが、切ないラブソングをしっかりと聞き手に伝えます。審査員の伊藤さんも「女の子の気持ちを素直に歌っていてすごく伝わってくる。他の曲も聴きたい」と絶賛していました。
最後に登場したのは“地元のおっさんアコースティックユニット”與那嶺商会。いかついモヒカンおやじと小柄なおじさんが、三線とアコースティックギターを持って登場したかと思えば、いきなり楽器を置いて、カラオケの伴奏で歌い始めたのはラテン風の昭和歌謡ミュージック。客席は戸惑いつつも、『涙のワンナイト首里城』という沖縄地元らしいフレーズに、最後は一緒になって踊りだす盛り上がりを見せました。これにはMCのゴリも「ちょっと! あなたたちクロウト過ぎでしょ! なんでそんなに営業慣れしてるの!?」とクレームを入れるほど。新人らしさのカケラもないおじさんユニットはウケも取りつつ拍手を浴びていました。
そんな超個性的な5組の演奏の後、審査タイムには昨年のグランプリ受賞者「具志堅ファミリー」がステージに登場。「具志堅姉妹」として受賞した2人に、お父さんお母さんも加わって家族でデビューを果たしたユニットです。デビュー曲「アコウテ」とカバー曲「ハナミズキ」を家族ならではの美しいハーモニーでしっとり聴かせてくれました。
そして、いよいよ、審査結果の発表。見事グランプリの栄冠を手にしたのは……幼なじみガールズバンド、TMKYでした!
バンドアンサンブルと将来性が評価されての受賞に、メンバーは「信じられないです」「まさか…優勝すると思わなかったので、心構えが…」と本当に驚きの様子。初々しい姿にMCの芸人たちも親戚のおじさんのように、いっしょに喜びを分かち合っていました。
個性あふれる音楽の才能がぶつかり合ったオープンマイクオーディションのグランドチャンピオン決定戦。沖縄の新しい音楽の才能がさらに磨かれて飛び立つことが、ひしひしと期待されるステージでした。